私がニードル脱毛の門を叩いたのは、レーザーでのヒゲ脱毛を8回終えた後のことでした。確かに全体の毛量は減り、朝の髭剃りは格段に楽になっていました。しかし、どうしても無くならない数本のしぶとい毛と、レーザーの刺激で白髪になってしまった数本のヒゲが、鏡を見るたびに私の心を曇らせていました。完璧を目指したい、この中途半端な状態を終わらせたい。その一心でたどり着いたのが、噂に聞くニードル脱毛でした。「とにかく痛い」という前評判に、私の足はすくみましたが、コンプレックスを完全に払拭したいという思いが恐怖を上回りました。初回の施術日、私は覚悟を決めて施術台に横たわりました。まず、口周りに麻酔クリームを塗ってもらい、待つこと30分。そして、いよいよ施術が始まりました。看護師さんが「では、始めますね」と静かに告げ、一本目の針が毛穴に挿入された瞬間、私は息を呑みました。麻酔をしているはずなのに、脳天を突き抜けるような、鋭く熱い衝撃。それが、ニードル脱毛の洗礼でした。例えるなら、熱した針を毛穴に突き刺されるような、これまで経験したことのない種類の痛みです。一本、また一本と処理が進むたびに、私は固く目を閉じ、ただひたすら耐えました。額には脂汗が滲み、手に握ったストレスボールは変形するほどでした。しかし、施術をしてくれる看護師さんの「痛いですよね、頑張りましょう」「あと少しですよ」という優しい声と、的確で無駄のない手技が、私の心を支えてくれました。一時間の施術が終わる頃には、私は心身ともに疲労困憊でした。しかし、鏡で赤くなった顎を確認した時、そこには確かに、あの憎き白髪と頑固な黒髭が消え去っていました。痛みと引き換えに得た、確実な結果。その事実に、私は言葉にならないほどの達成感を覚えました。回数を重ねるごとに毛は減り、痛みにも少しずつ慣れていきました。そして全工程を終えた今、私の口周りには一本のムダ毛もありません。完璧にデザインされた輪郭、毎朝の髭剃りから完全に解放されたストレスフリーな生活。私がニードル脱毛の激痛を乗り越えて手に入れたのは、単に滑らかな肌だけではありません。